手紙人 No.032
中西 須瑞化 / Suzuka Nakanishi
「私に出逢ってくれたあなたへ」

    情けない話ではありますが、私は26歳になってようやく「生きていくこと」と
    腹を決めて向き合おうと思えるようになりました。ちゃんと生きていくために、
    覚悟を持とうと思います。それは、幸せに生きるということの覚悟です。
    不幸を捨てる勇気です。
    正直、まだまだ怖い気持ちもあります。私にとって幸福というものはひどくぼんやり
    したイメージで、不幸の方が余程自分をここに留めてくれるものだから。
    けれど、これまで出逢ってきた大勢のあなたのおかげで、
    私は息の仕方が分からなくなることもなくなってきました。
    世界のやさしさを信じられるようにもなりました。元々、信じることは得意です。
    だから今は、あなたのような人たちがたくさんいることも信じられます。
    形の分からない、ふわふわとした幸福というやつも、信じられそうな気がします。
    年相応のナイーブな悩みや、下らない会話、必死で夢中になって表現した自分。
    分かりあえたり、分かちあえなかったり、ひどく不安定な安らぎの中で
    息をしていた日々は、それでも本当に大切で愛しいものでした。
    私に創ることの楽しさを教えてくれたのも、歌を歌わせてくれたのも、
    居場所をくれたのも、人を信じることを教えてくれたのも、皆あなたでした。
    小さな小さな出逢いの重なりが今の私を形成しています。
    一緒に夜まで話をしてくれたあなた。泣きながら抱き合ってくれたあなた。
    言葉を交わしてくれたあなた。
    ひとつひとつ、一人一人に生かされてきたなぁと心底思います。
    いつか私の名前で文章を書いた本を持って、あなたにお礼を言いに行きたい。
    また歌うことがあれば、楽しく歌いたい。今と変わらず、ずっと良い関係を続けたい。
    そんな小さな願いを込めて、あなたに手紙を送ります。

    中西 須瑞化






    手(hand)
    右利き(ボールペン / 三菱鉛筆 [ジェットストリーム 0.5])





    紙(paper)
    これまで私に出逢ってくれた方宛(レターセット / DAISO [No.218 シンプル柄])





    人(person)
    中西 須瑞化(26歳 / フリーランス)


    入筆時間
    30分
    好きな言葉
    転んでも、また立ち上がって進めばいい
    好きな本
    梶井基次郎「檸檬」
    最後に手紙を書いたのは?
    大学を卒業する先輩に。3年くらい前?
    手紙人になった感想
    久しぶりにペンをとり、言葉を書きました。
    頭に思い浮かべながら綴るということは、やっぱり特別だなぁと思います。
    出張しまくりで慌てて100円で買ったレターセットも含め、
    今の私を表現させてもらえた良い機会でした。

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