今は五歳の弥恵ちゃん。
あなたが大人になったときいつだかのタイミングでこの手紙を見せたいと思って書きます。
あなたを授かってからこの六年間、たくさんのことを教えてもらいました。
一生懸命に想うからこそ、大切だからこそ、愛しているからこそ、時に相手を傷つけてしまうこと。
心のおもむくままに素直に行動し表現すれば、たとえ失敗しても人は共鳴してくれること。
世界は自分が思うより大らかで愛に満ちていること。
あなたに教えてもらいました。
怒りっぽくて、激しくて、繊細で、敏感で、こだわりが強くて、感受性豊かで、優しくて・・・
母にそっくりのあなたは時に生きづらいと感じることがあるかもしれない。ないかもしれない・・・
先のことはわからないけれど、もしそんなことがあったなら母の失敗の数々をお話しましょう。
こんな私でも三十六年間生きてこれました。
人間って、この世の中って面白いです。
これからも一緒に生きていこうね。
愛しています。
平成三十一年四月十日 母より

手(hand)
右利き(筆:選毫圓健 / 墨:鈴鹿墨丹頂)

紙(paper)
娘宛(雁皮紙 /巻紙)

人(person)
小島雅子(采蘋)(36歳 / 書家)
入筆時間
10分
好きな言葉
上善如水
好きな本
川端康成「千羽鶴」
最後に手紙を書いたのは?
昨日、大学の先生に。
手紙人になった感想
娘への思いが整理できました。もしかしたら遺言になるかもしれないなと思いながら書きました。
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