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Beppu Photo / 別嬪と温泉 連載第四回

先生の休日

別嬪と温泉は「別府温泉ルートハチハチ」の番外編です。温泉道にこだわらず、様々な温泉や別府の街で「べっぴんさん」を撮影していきます。

No.04 Credit:
Model / Kasumin
Location / 鶴の湯、田ノ浦ビーチ、鉄輪温泉、かんなわ六画ストア
Photo・Design・Words / 東京神父

※物語は全てフィクションです。
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  • 決して悪い意味ではないのだけど
    私は生徒たちから
    変わり者扱いされている



  • 豊後大野市出身で
    職場は別府の高校
    休日になると温泉巡りする
    いわゆるベッパーだ
    ベッパーって別府でしか
    通用しない言葉なんだけど
    ようは別府を愛してる人ってこと



  • とにかく元気で
    いつもおっぱいが揺れている
    と女子生徒からからかわれている
    たしかにこんな保健の先生がいたら
    男子生徒はどうしたって
    胸に目線が行くし
    それは自分でも仕方ない
    と少しネタにしてる部分もある
    下手に恥ずかしがるからよくないのだ



  • ネタに出来るキャラであり
    環境を作ることが大事だ
    けしからんと言ってきた保護者に
    「世の中のほぼ全ての男性が
    おっぱいを吸って大きくなったんですよ?」
    と言ってからは何も言われなくなった
    私が変わり者だと思われている
    理由の一つでもある



  • そんなわけで生徒たちとは仲がいい
    別府という街は生徒も少しおかしな子が多い
    「おかしな」とは「素敵」と同義と
    思ってもらっていい



  • 生徒たちは皆
    かすみんと呼んで慕ってくれる
    私は霊感が強いので
    彼らがどんな理由で保健室に来るかも
    大体わかってしまう
    ここだけの秘密だけど
    実際に生徒から告白されたことも
    一度や二度じゃない



  • 若者は進化という意味では
    最先端にいる先輩だ
    告白はいただけないけど
    年下だからといって
    敬意を忘れてはいけない



  • 色々とストレスもあるけど
    概ね私のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)は
    高水準でそれは温泉のおかげでもある



  • 私の出身地は今まさにサウナで
    町おこしをしている豊後大野市だ
    大分で温泉がないのは
    豊後大野市と津久見市だけで
    それを逆手にとって
    自然とサウナを掛け合わせて
    観光PRを行っている



  • たまにモデルをやったりして
    PTAのおばさま達に白い目で
    見られたりすることもあるけど
    地元と温泉のためなら
    一肌脱ぐ覚悟はできている



  • この職業だからこれはしてはいけない
    なんてもちろん常識や法律に反しては
    いけないことは多々あるけど
    そんなの知ったこっちゃない
    が私の基本理念としてある



  • 教師になりたくてなったけど
    それが理由でやりたいことが
    出来なくなるのなら
    いつだってやめてやる
    環境なんて自分でいくらでも
    変えられるんだよ



  • さっきも霊感の話をしたけど
    私は小さい頃から
    妖怪やら妖精やら霊魂やら
    そういう類のものを山ほど見てきた
    人の形をしているものもいれば
    煙や光や何かの思念
    みたいなものもいる



  • それらに共通しているのは
    みんな淋しがっているということ
    人と関わりたくて
    人に関わって欲しくて
    いい意味でも悪い意味でも
    生に憧れ執着している



  • 生きていないものは
    環境と感情に支配されている
    でも私たちは生きている
    だから自分で決めることが出来る
    今日だって自分の好きな温泉に
    自分の意思で入りに来てる



  • 温泉には精霊が宿ると言われていて
    私が温泉が好きな理由の一つでもある
    温泉に現れる精霊たちは皆優しい
    今日入りにきた「鶴の湯」も
    大勢の精霊たちが癒されにくる場所だ



  • 鶴の湯はなんといっても
    大きな墓地の奥にある秘湯だ
    この日も2体?2匹?2人?いまだに
    そういうものの数え方が
    分かっていないのだけれど
    今日もやっぱりいた



  • 見た目は妖怪だけど
    分類でいうと妖精に近い
    もちろん普通の人には見えないんだけど
    氣がいい場所だと姿を現すこともあるし
    たまに話しかけられることもある



  • ほらあなたにも見えたかしら?
    見えても害はないから安心して
    彼らも私たちと同じで
    休日の温泉を楽しんでいるの



  • 人間は目に見えるものに
    頼りすぎているから
    もっと五感で物事を感じる必要があるの
    精霊と話しているとそんなことを
    強く考えるようになる



  • 生徒達にも常にそう教えてる
    「同じ景色は二度とない」って
    だからこの一瞬を全力で生きなさいって
    後悔も反省も成功も成長も
    行動を起こさなければ生まれないから
    やってみることが大切
    体を動かしてやってみて
    初めて心が動き出すのよ



  • 鶴の湯はもう随分長いこと
    通ってる温泉なんだけど
    ある時出逢った精霊が言ってたの
    「好きなものを好きだと言える
    自分でありなさい」



  • 私が教師になったのも
    もしかしたらそういう精霊たちの金言を
    若者に伝えるためなのかもしれない
    そうじゃないかもしれないけど
    そう思った方がなんだか素敵



  • 別府は磁場がいいから
    人間でいうと仙人級の精霊が
    たくさんいてその中には
    凄い位の高い精霊もいて
    イメージは千と千尋の神隠しに出てくる
    オクサレ様みたいな感じかしら



  • 今日いる二人はとても
    位の高い精霊様だから
    見えてる人は幸運だわ
    いい精霊は見るだけで
    ご利益があるから



  • ほらおっぱいよりも
    ちゃんと精霊様を見なくちゃ



  • 最近はスマホの影響もあって
    文字を読めない人が
    いや正確には読まない人かな
    が増えてるみたいで
    きっとこの私の一方的な独白も
    信じてしまう人がいるのだと思う



  • 便利さは想像力を奪う
    現代の世の中
    他の国にことは知らないけど
    日本のSNSではそれが顕著だ
    それが私には窮屈でたまらなくて
    精霊と話してる方が
    よっぽど有意義だったりする



  • 精霊たちは自然と人が密接に
    混ざりあっていることを知っているし
    私が温泉とくに別府の温泉が好きな理由で
    精霊や温泉のおかげかは分からないけど
    別府の人は本当に人がいい



  • 学校もそう
    PTA会長や教育委員会に
    楯突いてこれだけ自由に
    居心地良くさせてもらってるのも
    人に恵まれてるからだと思う



  • 別府の人は
    おっぱいが大きかろうが
    刺青が入っていようが
    髪を七色に染めていようが
    そんなことで人を判断しない
    私が別府の温泉に通い続ける理由だし
    もっと言えば職場を別府に選んだのも
    そういう理由だったりする



  • 今日の精霊はどんなことを
    教えてくれるだろう?
    精霊や妖精に会えるのは
    なかなかにレアな体験だけど
    別府の人達に会うのは簡単だから
    フラットな気持ちで
    ふらっと別府に来てみたらいいと思う

    その心根の深さや
    ざっくばらんな寛容さに
    びっくりすると思う
    精霊よりも精霊みたいな人に
    会える街だから































































  • つづきは「ふるえろ」から
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