手紙人 No.050
小山祐介 / Yusuke Koyama
「はつ恋のひとへ」

    あなたに恋をしてから20年が経ちます。
    どうしようもなく好きになって。
    生まれて初めて告白して。見事に振られて。
    同窓会を機に再会したときは、ただただ感動して。
    初めて書いた小説を最初に読んでくれたのもあなたでした。
    アーティストを目指していると話してくれたあなたに、
    どうしても読んでもらいたかったんです。

    「純粋ってことは醜いってこと。逆も言える。醜いってことは純粋ってこと」
    どんな意味なのかさっぱりわからず聞き返した僕に、
    敢えて答えは教えませんでした。今度逢うときまでの宿題だって。
    言葉は色褪せることなく鮮明に。あなたがいたからこそ、いまの僕があります。

    連絡が取れなくなってから、数年が経ちますね。
    どこにいてなにをしているのか。もはや生きているのかすらわかりません。
    宿題も提出できないまま。
    人は「点」です。点は日々を歩むことで「線」になり、
    交わり重なり逢ったときに、新たな「色」が生まれます。
    あなたと僕の線が交わり重なり逢うことは、もう二度とないのかもしれません。
    それでも。いつか、また笑って話せるときがくると、信じています。

    小山祐介







    手(hand)
    右利き(油性ボールペン / ZEBRA [Clip-on Slim SK-0.7芯])





    紙(paper)
    初恋の人宛(便箋 / Hallmark [Feather Leads to happiness EEP-630-706])





    人(person)
    小山祐介(34歳 / カフェスタッフ)


    入筆時間
    1時間
    好きな言葉
    まっすぐ
    好きな本
    山崎ナオコーラ「長い終わりが始まる」
    最後に手紙を書いたのは?
    初恋の人へ5年前くらいに書きました。「いまどうしてるの?元気?」って。
    手紙人になった感想
    心に浮かび上がる情景をありのまま書きました。再会した当時を思い出し、まるで初恋の人とまた逢えたような、そんな感覚。
    叶うこと、叶わないことはたくさんあるけれど、それでも歩んでいこうと改めて思えたような気がします。

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